テレビで、山形県長井市の葉山山荘が紹介されます!
衛星写真で見つかった、山形県の山奥にある赤い屋根の一軒家、そこは歴史ある“伝説”が残る場所でした。
因幡の白兎ならぬ「葉山の白兎伝説」です。
日本国内で「白兎」という地名を持っているのは,2つしかありません。山形県長井の白兎(しろうさぎ)鳥取県の白兎(はくと)です。
なかなかおもしろい伝説なので、調べてみました!
何だコレ?衛星写真の謎建物は、葉山神社
伝説がある場所は、山形県の長井市です。
↓↓↓まずは「ぽつんと赤い屋根」ってどこのことやねん、ということですが、ここのことです。
ここは「葉山山荘」といいまして、朝日連峰の南側(長井市)にある山です。「葉山」と呼ばれる山は県内にも複数あり、この山は「長井葉山」とも呼ばれています。
白兎という地名や、葉山のふもとにある葉山神社には狛兎があることなどから、うさぎに関する伝説が残っています。
この神社には、白兎の名の由来が書かれた案内板があります。
…………
時代は平安時代中期。
11世紀半ば、現在の岩手県奥州市から盛岡市にかけての地域を支配していた安倍氏の棟梁であった安倍貞任宗任は、源義家(頼朝のひいひいおじいさん)に滅ぼされました。
以来300年以上もの間、この地は荒れ果てた山になってしまいました。
明徳 4年(1393 年)、丹後の国の恵法律師という偉いお坊さんが羽黒山(ここからもうちょっと北にある山)に詣でる途中、現在の長井市内の五十川四ツ谷の堀の中(というか沼の底)で輝くものが見えました。それは砂金の薬師如来でした。
恵法律師は神の使いである白狐と白兎に導かれて西山に登り、平坦な葉山平と農園御田代にお社を建ててこの仏像を祀ります。
その道案内を兎がしたことから白兎の地名ができました。葉山神社の御神体は砂金の薬師如来です。
…………
この「西山」が、上の地図にある葉山神社のことを指しています。
葉山宮の由来
山荘へ至るまでの登山道は「白兎口」「草岡口」の二つがあります。両方ともに約3時間くらいの山道です。
葉山山頂付近には、朝日連峰周辺では珍しい湿地帯が広がっています(ここが上空から見ると『爪で引っかいた痕』のように見えるんです)。
ここは地元の人には「聖なる沼」と呼ばれており、田植え神事が行われています。
山頂の手前には無人の山小屋(葉山山荘)があり、ここに今回のメインである葉山神社があります。
なお、葉山の登山道には通行不能の旧道と交差する箇所が複数ありますので、迷い込まないよう注意が必要です。
<出典:やまがた山>
お堂が2つありますね。
左のお堂が聖徳太子の時代から続いている月山宮、
右のお堂が白兎地区の名の由来に書かれていた薬師如来を祀る葉山宮です。
もともとは月山宮のひとつだけがあり、後から恵法律師が葉山宮を建てたのですね。
このお堂にも、葉山宮の詳しい由来が書かれています。
ここでは特に白うさぎの記述はありません。
…………
薬師如来を見つけた恵法律師は、
●近隣の住人「横源太」と
●山麓の寺院の住職「宥光法印」
の協力を得て浄財を集め、3人で参道を改修し、荒れ果てていた月山宮の再建とともに薬師如来を祀る葉山宮(いずれも当時は権現)を建てたとのことです。
以降、葉山宮は、古代山嶽信仰の山の神として、また作神様として葉山山頂に祀られ、葉山権現とも称されていました(葉山権現は、明治期に山のふもとの葉山神社に勧請されます)。
伝承どおりであれば黄金の薬師如来は、長いあいだ右のお堂の中にあったものが、明治時代に山のふもとの葉山神社に移されたようですね。
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月山宮の由来
<出典:出羽三山神社HPより>
さて、葉山宮の対となるもうひとつの月山宮についても、気になりませんか?こちらのほうが古いのですものね。
葉山宮の起源である11世紀から遡ることさらに400年、飛鳥時代。
西暦593年、崇峻天皇暗殺後、第3皇子の蜂子王子は聖徳太子の計らいで出羽の国へ逃げ延び、羽黒山、月山、湯殿山等を開山、神鎮し、旭、葉山も神鎮しました。
蜂子王子は産業を興し、医療の法を教え、人々の苦悩を救うなど、幾多の功徳を残しました。民の全ての苦悩を除くという事から「能除(のうじょ)太子」と呼ばれるようになったのです。
蜂子皇子の肖像画は気味の悪いものが多いですが、長命であったこと、また多くの人の悩みを聞いた結果、このような顔になったともいわれています。
蜂子王子は葉山には「弥陀(阿弥陀如来の仏像?)」を安置し、この山は古くは「弥陀ヶ嶽」と呼ばれていたのです。
月山宮は西暦700年代には奉られていたとのことですので、すごいですね。
そして驚くべきことにこの葉山宮と月山宮は20年に一度、伊勢神宮の式年遷宮的?なお建て替えを行っており、現在まで続いています。
直近のお建て替えは2014年(平成26年)、この時で32回目。単純計算で640年の歴史があるんですね。すごい!!
まとめ:東北にも熊野大社がある
実は長井市の南東の南陽市には「東北の伊勢」と呼ばれる熊野神社があり、この神社にもうさぎがいるんです。
本店の裏側には「3羽のうさぎ」の隠し彫りの仕掛けが施されています。
いつ頃からかはわかりませんが、この3羽のうさぎをすべて見つけることができれば、その人は一生お金に困ることなく過ごせて、さらに願い事が叶うといわれています。
2羽目まで見つける手引書が配布されているのですが、最後の3羽目だけは、授与所でも教えてもらえません。
また、人から場所を教えてもらったり、誰かに教えたりすると御利益がなくなると言われています。
11世紀の恵法律師を導いたのは、この東北の熊野神社のうさぎのうち一羽かもしれませんね。
白うさぎは、中国でも神の使いと言われています。
こうした伝説を持った地名が、ここ山形県長井市にあることは、とても不思議なことですね。
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