東京五輪のボランティアが、そろそろ動き始めます。
お医者さんにまで声がかかったらしいのですが、なんと「無償奉仕」だそうで……なんか変だと思いませんか?
医者に限らず東京五輪のボランティアは「10日間拘束」が原則です。
事前の研修が2回あるので、居住地によっては東京を複数回往復しなければならないかもしれないので、そのつど、自分の仕事を休んで参加しなければなりません。
東京オリンピック2020の仕事依頼が来た
もちろんスポーツドクターとしての仕事ですが、軽くお話し聞いてみたところ案の定 無償本気でこれでいいのか?
これでは日本スポーツ界は変わっていかない好きな人が好きなことやってるんだからいいでしょ?じゃない、資格持って責任持ってする仕事なんだよ
— 産婦人科医×yoga 高尾美穂 (@mippolin78) 2018年8月29日
サラリーマンだって無理です。
ましてお医者さんが、一ヶ月も休めるわけがないです。
募集要項に「東京2020大会の成功に向けて、情熱を持って最後まで役割を全うできる方」という参加条件がありますが、なんちゅう厚顔無恥な…
だいたい、オリンピックというのは商業イベント。
現在でも50社以上のスポンサーが名乗りを上げ、すでに4000億円もの協賛金が集まっています。
オリンピックというイベント自体に利益が出ているんです。
単に人件費をケチっているとしか思えません。
これは「私はマクドナルドの業績向上に貢献するため、情熱を持ってバイト代なしでハンバーガー売る役割を最後までまっとうします」とマクドナルドのアルバイトに手を挙げて無償でレジを打ちに行くよーなもの。
自然災害時のボランティアや、2歳児救出の尾畠さんのケースとはまったく違います。
イベント自体にもう利益が出ているのですから、そこから人件費を出すのは当然のはずですが、それを惜しんで「やりがい」で釣って無償奉仕をさせ、利益の最大化を図ろうとしています。
自分が大学生だったら参加するのかな、東京オリンピック出るかな?どうするかな?という視点で考えてみました。
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①東京までの交通費及び宿泊は自己負担・自己手配
東京五輪のボランティアは、本当に報酬や手当のたぐいは何一つ出ないです。
それでももしあなたが「一生に一度の東京五輪、よし思い切ってボランティアに参加してみよう!」と思い立ったとしましょう。
まず気になるのは、期間中のホテルと交通手段の確保です。
東京五輪の本番中なんて、ホテル代や交通費は最高値のオッズですよ。
東京に親戚や友人がいて、せめてホテル代が浮くというならまだ「行こうかな?」という気にはなります。
しかしそうでない場合、友人とホテルの部屋をシェアして一泊5000円で泊まれる部屋を見つけたとしても、
【宿泊費】5,000円/一泊×14日=70,000円
※五輪開催前後の研修・準備を含んで14日として計算
【交通費】実費ですが、ばらつきがあります。
とにかく費用が安い「夜行バス」で試算してみましょう。すべて片道です。
・大阪からだと3000円~9000円、
・福岡からだと10000円~15000円、
・青森からだと5000円~7000円
かかる計算になります。夜行バスってすごく疲れますけどね…。
都内の移動費も加味すると、東京五輪ボランティアの滞在費は、最低10万円はかるくかかる計算になります。
最低限の金額です、10万円というのは。
10万円あったら、学生だったらそのまま1ヶ月の生活費です。
②継続活動期間10日間以上
とりあえず今ボランティアを申し込んでおいて、当日のホテルが取れなかったらどうするのでしょうか。
それに開催期間中、同じホテルをずっとおさえることが果たして可能なものでしょうか。
実質2週間ですよ。
3日間ぐらいから参加できるようにすれば、ホテルもとりやすく、細かく集まるでしょうに。
会場から遠く離れたところのホテルしか予約できなかったら、ボランティア会場までたどり着くのにまたさらに交通費も時間もかかります。
実質、東京にコネがない人や、地方居住者お断り……ですよね、これ。
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③東京都が指定する研修会にすべて参加すること
↓↓↓こちらは、『東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 ボランティア募集要項』に記載されている、ボランティアに応募した人に対するオリエンテーション・研修の内容です(内容は両方ともほぼ同じ)。
オリンピック・パラリンピックの雰囲気を感じ、チームワークを高めるために、面談を含むオリエンテーションが実施されます。
オリエンテーションの開催会場なのですが、なんかバラつきがありませんか?
北海道では開催されるオリエンテーションが、なぜ四国と沖縄では開催されないのでしょう?
それは、四国と沖縄では、北海道や茨城県、福島県ではオリンピックの競技の一部が開催されますが(野球・サッカーなど)、四国や沖縄では開催競技がないからです。
オリエンテーションや研修くらい全国まんべんなく開催すればいいのに……どうしてこう、最初の入口のハードルからして交通費をかけさせるのか。
これ、最初から地方のボランティアはいりませんって言ってるのと同じですよね。
「日本五輪」ではなく「東京五輪」と言われるゆえんです。
④熱中症による健康被害が懸念される
2018年の猛暑はすごかったですね。
救急搬送された人も多く、熱中症か、熱中症の可能性がある死者が多数でてしまいました。
今年の日本列島はずっと高気圧に覆われ、35度以上の猛暑日となる地点が相次ぎました。
あまりの暑さにネット上では「2年後のオリンピックでは、アスリートだけでなく観客も我慢大会」「死者が出るレベル」など不安の声が続出しています。
東京都における熱中症による救急搬送人員数(2018年4月30日~8月26日)は、
7426人
です。
このうち、成人3,211人、高齢者3,486人。
↑↑↑
ボランティアなんてできるのでしょうか^^;?
※統計基準が同じではないため、人数はちょっと合いません。
2017年が3,111人ですので、今年は実に2倍以上の人数が、熱中症の疑いで病院に搬送されています。
<出典:総務省消防庁HP>
何があろうと補償なし!
指示を出したり取り仕切る運営側が責任を取ることはなく「自己責任」で済ます算段です。
なので大学・高校は「東京五輪ボランティア」の募集活動は、一線を画してほしいです。単位振替なんてするな。
熱中症で倒れてしまったら、ホテル代+交通費+食費 に加え、病院代も自己負担です。
⑤災害はまだともかくテロが起きたらどうするの?
東京五輪では災害対策と同様に、テロ対策についても注目が集まります。
過去には1972年ミュンヘン大会、1996年アトランタ大会で、2013年にはボストンマラソンで、いずれも死傷者を出すテロ事件が起きています。
日本の入国チェックは、欧米諸国や中国と比べるとやさしすぎると言われています。
過剰に厳しくする必要はありませんが、世界的に標準化しつつある瞳孔を取り囲む目の模様部分をチェックする「虹彩認証」は、まだ日本では導入されていません。
怪しい人物を入国時に厳しく審査するハード面の強化によって、テロの発生率を下げることが可能です。
まあ日本の場合、海外組織によるテロよりも、同じ日本人による無差別殺人や通り魔などが起こる可能性の方が高いかもしれません。
何かの犯罪に巻き込まれてしまったら、ホテル代+交通費+食費+病院代 に加え、訴訟費用も自己負担です。
⑥ボランティア参加者には特別にボランティアユニフォームをプレゼント
猛暑の中、全て自腹で10日間のボランティア労働を完遂した人には、特別に東京都ボランティアユニフォームをプレゼントしてくれるそうです。
別にいらないです。
東京都がゴミ処分費を浮かせたいだけなのでは。
追記:目標の8万人を突破、しかし……
2018年11月21日、東京オリンピックボランティアの募集が締め切られました。
結果は、目標の8万人を突破し、8万1035人が応募してきたとのことですが、男女比は男性40%、女性60%で、このうち日本国籍以外の人の割合が44%に上ったとのことです。
半分近くが外国人って、どういうことなのでしょうか……つまり、日本人は半分強しかおらず、しかも年齢構成は、50代以上の壮年以上層が多いと聞きます。
外国人といってもどこの国の人かというと、中国人らしいんですね。
2018年9月27日、華字紙・日本新華僑報は、2020年東京五輪・パラリンピックのボランティア応募の受け付けが26日に始まったことを伝えるとともに、在日中国人がボランティア参加に意欲を示していることを紹介した。
<レコードチャイナより>
どうなるんだろうと思って注視しておりましたが、リタイアしたシニアと組織動員で埋まるんだろうなと推測していましたので、ほぼ半分が中国人女性という結果は、予想しておりませんでした……。
スタッフを装って、中国選手に国旗を渡すふりして他国選手を妨害するなどの嫌がらせが横行しないかどうかが心配です。
まとめ:10万円出せるならチケットを買おう
10万円もの交通費と宿泊費を出す余裕があるのなら、ふつーにチケット購入して、お客さんとしてオリンピック競技を楽しんだほうがいいんじゃないかな。
確かに、オリンピックなんて生きているうちに一度あるかないかのビッグイベント。
チケットなんて発売されて即売り切れになるでしょう。
だから、
チケットを取れなかった人や地方の人も、オリンピックに少しでも関われるための「配慮のボランティア枠」として、交通費か宿泊費のどちらかくらい負担してくれてもいいんじゃないの?
って思うんです。
つまり、「せっかくの機会だから、ぜひ一人でも多くの人が参加してくださいね。お金がない学生さんは交通費か宿泊費を一部負担してあげるけれど、足りない分はボランティアという労働で払ってね✩」という理屈。
こういう趣旨ならば、学生を優先するのも納得ですよ。
ボランティアの意味は「無償」ではなく「自発的」。
「やりたい人がやればいい」なんて当たり前のことです。
問題は運営側が利益追求のため「無償」にこだわり、半強制奉仕の圧力がかかりつつあることです。
運営側は働いている人は無理なので大学生・専門学校生を学徒動員したいようですが、60年前と違って今の大学生はバイトで生活費を稼ぐのに精一杯です。
中高校生は受験で忙しいですし。
熱意や情熱ばかりを一方的に求め、本来ならば金銭が支払われるべき技術や能力、労働に対してまで「ボランティアは無償で当たり前」という考え方を通そうとするのは、あまりに敬意が足りていないのではないでしょうか。
無礼にもほどがあります。
時間が余っていて、生活費の心配がないのは、年金生活者と生活保護者くらいでは?
年金生活者の応募が多いと思います。
こんな劣悪な条件で学生が欲しいだなんて、贅沢です。
でも、資本主義や商売のことがわかっておらず、ただ「やりがい」に釣られて応募するピュアな学生、いるんだろうなあ……。
当ブログでは、やりがいを搾取されるだけのイベントに関わる前に、ご自身の時間や健康の「価値」について、今一度冷静に考えることを推奨します。
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