<出典:銀魂公式HP>
さきほど、実写版「銀魂」(2017上映)の初地上波放送が終わりましたので、感想を書いてみたいと思います。
独特の魅力がある作品ですよね。
私はアニメはあんまり観ませんが、漫画はそこそこ読みます。
銀魂も一時期コミックスを読んでいましたが、18年連載をしているだけあって、長いんですよねー。私は一度40巻あたりで挫折しましたが……。
でも最近、なんのきっかけか忘れてしまいましたが「銀魂、面白かったよなあ」と思い出しまして、また読み返していたんですよ。
振り返ったら72巻まで出ていました。
現在25巻あたりを読んでいるかたわらで、今回、銀魂の実写版映画がテレビ地上波で初放映されたので、観てみました。
いや面白かったですよね。
途中から裏番組の「遺留捜査」を見る予定だったのですが、すっかり忘れてしまってました。
この「銀魂」という作品を知っている人達にとってはかなりいい出来ではなかったかと思うのですが、この作品自体を知らない人がいきなり実写版の映画を見るには、世界観が独特すぎて、なかなかハードルが高いのではないかと思います。
今回は、1人でも多くの人が「銀魂」の世界に入りやすくなるように、銀魂作品の魅力や、実写版「銀魂1」の感想などを簡単に書いていきたいと思います。
「銀魂」とは何か。簡単に説明すると?
↑↑↑個人的には桂小太郎役の岡田将生さんの美女ぶりに驚きました。原作でも正統派イケメン顔ですが、この顔に下ネタ混じりのボケをかまし、エリザベスというオバQ宇宙人と一緒に行動する奇妙奇天烈な思考回路が入っているのです。(出典:銀魂2公式)
「銀魂(ぎんたま)」は集英社が発行している週刊少年雑誌「ジャンプ」に2004年から長期連載している少年向けの、日本史を徹底的にパロったギャグマンガです。
作者は北海道出身の空知英秋さん。
SF時代劇の体裁をとった人情コメディストーリー漫画で、作者はこの作品の属性を「SF人情なんちゃって時代劇コメディー」と表現しています。
銀魂の舞台は要するに幕末日本のパラレルワールド。
私たちの世界の日本史では、1853年に浦賀沖にアメリカ合衆国のマシュー・ペリー率いるアメリカ海軍東インド艦隊(黒船)の来航によって開国を強要され、攘夷派と倒幕派に分かれて、同じ日本人同士が戦争する歴史です。
いっぽう銀魂の世界では、黒船のかわりに天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が襲来することによって開国を迫られ、攘夷派と倒幕派に分かれて同じ日本人同士が戦争した結果、天人の傀儡政権になった幕府派が勝利します。
銀魂の舞台は、地球人が負けた結果、天人により銀河文明が導入された江戸の「かぶき町」を主たる舞台としています。
この物語は、銀色の髪で、黒い上着に白い着流しとブーツを履いたいでたちで木刀を使う「坂田銀時」という男性を中心に展開します。
まずなんといってもこの「銀魂」の特徴は、ありとあらゆる
●ギャグ
●下ネタ
●時事ネタ
●著作権スレスレのパクリネタ
を随所に散りばめることによって、作中の登場人物同士と現実の読者との距離や親近感・親密感を高めることに成功したこと。
ギャグというツールを介して現実世界の私たちにまで登場人物がぐいぐい迫り、あらゆる「境界」をぶっ壊すという奇抜なスタイルを確立した、たぐいまれな作品です。
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小ネタ満載の「銀魂」を見ると誰かと世界を共有できる
↑↑↑銀魂の世界的にはまったく関係ない季節的にも元号的にも、こちらの世界のパラレルワールドにあっさり侵入してくるフライさが魅力。これがギャグ漫画の真骨頂か。
銀魂の魅力はなんといってもまず、お笑い芸人ばりのボケとツッコミのギャグを登場人物に担ってもらっていること。
作者である空知さんの努力と苦労がびしびし伝わって来るくらい作りこまれたギャグには、思わず誰でも吹き出してしまうはずです。
漫画を読んでひとしきり笑って読者の心理的ガードが下がったところに、時事ネタやパクリネタをどんどん流し込んでくるんですよ。
この実写版銀魂だけをとっても、
・GTO(主題歌のパロディ)
・CDTV
・まーきの
(「花より男子」の小栗旬演じる花沢類の、首を曲げながら牧野の名前を伸ばしながらいうセリフ)
・橋本環奈の奇跡の一枚(橋本環奈演じる神楽が、作中であのポーズを取る)
・ジョジョ(2017年に公開された銀魂映画の2週間後に封切りされた実写版)
・おばけのQ太郎(桂小太郎のペットのエリザベス)
・寄生獣(銀時が「ミギー」と発言)
・ドラゴンボール(長澤まさみがドラゴンボールの擬音を朗読した)
・テレビチャンピオン(昔の大食い選手権)
・信長協奏曲(銀時が「信長の倍は生きたい」発言。これは2014年に月9枠で放映された小栗旬主演のドラマを意識したネタ)
・ガンダム(赤いザクとシャアが出てくる)
・相棒(シャアの中の人は鑑識役の六角精児)
・ONE PIECE(麦わら帽子とゴムゴムの実が出てくる)
・風の谷のナウシカ(微妙なコスプレ姿のナウシカとメーヴェが出てくる)
これだけの小ネタが散りばめられているんです、この中でひとつでも心当たりがない日本人が果たして存在しているものでしょうか。
これで銀魂世界とこちらの現実世界の「共通認識」「ネタの共有」が完了し、いっきに親近感が湧いてきます。
もうですね、どっちがどっちのパラレルワールドかわからなくなってくるんです、これだけ銀魂世界でこちら側のギャグやネタをやられると。
このように2次元と3次元と4次元の回線が混線すると、なんだか登場人物が半リアルに感じられてくるんですよね、不思議なことに。(漫画作品にしては)ありえないくらいキャラクターの親近感・リアルが迫ってくる感触があるんです。
そしてこの「半リアル」の感覚を、「銀魂」を知っている人同士で共有できる。
たぶんここが、銀魂のいちばんの魅力なのではないでしょうか。ほかの漫画作品にはない傾向です。
原作では、たまに長編シリアスの連載があります。いつもギャグだらけだったキャラクターたちが一転して、に命のやりとりをする側面を見せる時期があります。
このキャラクターの「ギャップ」に魅せられてしまったファンが、銀魂にはいかに多いことか。
しかもこれが通常の「紙面上のかっこよさ」にとどまらず、すでに開通済みの2次元と3次元と4次元の混線回線を通ってダイレクトに伝わって来るのですから、たまりません。
なお、今まで映画の銀魂と(ほぼ)同時上映したジャンプ作品には「ジョジョ」「ブリーチ」「トリコ」がありますが、全作品コケました。
どんなに魅力的でも、しょせんかれらは紙とスクリーンの向こうに隔てられたキャラクター。
半3Dを具現した銀魂にかなうはずがないのです。
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役者の可能性の枠も突破した実写版銀魂のすごさ
橋本環奈さん、自分のイメージを壊しましたよね、いい意味で。
神楽という女の子は、女性キャラクターの中でほぼ唯一、最前線でバトルできる「資格」を持った人物です。
銀魂のいいところのひとつに、「変にフェミニズムに走らない」「女性キャラだからといってあんまり手加減しない」が挙げられます。
女性は守るべき存在ではありますが、だからといって必要以上に優しくしない、あくまで自分の力で立ち上がらせる……そんな銀魂ならではのしっかりした一線があるのです。
そうはいってもやっぱり女性、銀魂の登場人物は全員が平等にギャグ要員ですが、程度にはやっぱり差があります。
しかし銀魂世界の鉄の掟である「容赦ないギャグネタ」を受け入れられないキャラクターは、作中でメインヒロインの位置には立てません。
逆に言えば、メインヒロインのポジションをゲットするには、この銀魂世界においては自分のキャラを徹底的に壊す必要があるのです。
そして原作の女性キャラの中で唯一、「手加減なしのギャグ」「変顔」について行けたのが神楽なのです。
ジャンプのヒロインの中で唯一「ゲロ」を吐いたという伝説を持っているので、誰も文句はないでしょう。
で、その「銀魂という特殊なルールが支配する世界の中でメインヒロインのポジションにある神楽」を演じることになったのが、よりによって「奇跡の一枚」の橋本環奈さんでした。
最初にキャストを見たとき、神楽役のタレントさんの名前を見て、私は「ああ、この映画失敗だわ」と思いました。
だって女の子のプライドを持って銀時や新八に守られる乙女な神楽なんて、神楽じゃないもん。
しかし橋本環奈さんはやってのけました。
白目、鼻ほじ、ゲロ吐き。
文句ありません、よくやりました!!(失敗だなんて思ってごめんなさい!)
歌舞伎役者の中村勘九郎(近藤勲役)さんが褌一丁で黄色く塗られ、柳楽優弥(土方十四郎役)さんがマヨネーズを箸で食べ、吉沢亮(沖田総悟役)さんがカブトムシの着ぐるみに埋まる作品です、よくついて行ったと思います。
この作品で、橋本環奈さんは演技の可能性や振り幅の大きさを証明してくれたと思います。まさに原作(2次元)が役者(3次元)を育てた、素晴らしいサンプルです。
「銀魂」という世界観の中では、女性キャラといえど、さらにそれを演じる女性タレントといえど、余計なプライドは邪魔でしかないのです。
自分のイメージを壊したくない女性タレントは「銀魂」には立ち入り禁止!!なのです!!
銀魂はギャグ漫画です。
ゆえにギャグこそ銀魂世界の倫理規定。女性といえどもギャグを制するキャラがメインヒロインの座を制するのです。
まとめ:すでに壊れているから実写でいくら踏み荒らされても壊れない作品
↓↓↓「銀魂2・掟は破るためにこそある」は、明日17日から封切りですよ!!
銀魂をあまり知らない人にとっては、「不謹慎」「コスプレ映画」「下品」「安っぽい」「わけわからん」という先入観があるかと思います。
が、ここだけはご理解ください、
実写版銀魂の見どころは、2次元と3次元と4次元の境界を越えた、それらの混線を楽しむ点にこそあるのだと。
これはですね、やはり銀魂にはまった人にしかわからない部分もあると思います。
しかし、この映画には原作のポテンシャルに見合った素晴らしい役者が配されておりますので、独特の「銀魂世界」における役者さんの表情だけでも堪能してもらればなあ、と思うんです。
毎クール配達される軟弱な月9枠の誰とも似かよったよーな表情などより、よっぽど生き生きとしているはず。
何か大事なものを投げうって映画の完成度にすべてを捧げた役者さんの侍魂、もとい銀魂を、劇場では必ず見ることができるはずです。
各方面の関係者におかれましては、どうぞ広い心で、この銀魂世界のダジャレに付き合ってもらえればなあ、と思います(笑)。
ギャグってすごいですね。ギャグがわかればあらゆる境界や垣根や次元の境界が溶解し、漫画のキャラクターの体験を半リアルで共有することができて、人と人を繋ぐこともできるんですよ。
銀魂世界のキャラ達はギャグネタでこちら側の世界にちょっかいを出し、私たちはその親近感をもって銀魂世界を半リアルに体験できるんです。
銀魂2は、映画館で見ますよ!
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