縁切り死の意味とは?一度は思う自分の最期に触られたくない心理とは

9月18日のクローズアップ現代+で放送された「縁切り死」が、大反響を呼んでいます。

現在、身元不明の遺体が年々増加しており、その数は2万人にのぼります。

中でも、自ら親類縁者や知人との関わりを断った後に死を選ぶ人、つまり「縁切り死」が増えているというのです。

わざわざ追跡できないような形で亡くなる縁切り死とは、いったい何でしょう?

その背景に迫りたいと思います。
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縁切り死とは

縁切り死とは、世の中に痕跡を残さないように命を絶つことです。

最近、身元がわかるものを一切持たず自ら死を選択する人が相次いでいます。

遺書さえなく、どこの誰かを特定することは非常に困難。

その多くは一緒に住んでいる家族や、親しい人がいるのに何も告げず、突然姿を消し、行ったことや住んだこともない、何のゆかりもない場所で、それまでの人生で培ってきたことから一切の縁を切るように亡くなっているのです。

警察では60年以上、身元不明死者にかかる相談所を設けており、担当者は毎日、この数万人にのぼる身元不明の遺体の情報と、全国から集まってくる届け出の情報を、一件一件照らし合わせています。

携帯電話や免許証など何もないので、警察は、亡くなった方の服装をイラストにして張り紙や看板などで情報を求めるしかありませんが、手がかりになるのがハンカチ1枚のみというケースもあるほどで、身元の特定が非常に困難なのです。

縁切り死のほとんどは自殺です。

ある自営業の男性のケースでは、妻が姿を消す前は普段と全く変わりがなく、一緒ににこやかに写真さえ撮っていたというのです。

そして「トイレに行く」と言い残し、男性に財布を渡してそのままふらりと消えてしまいました。

自宅に帰るとメモが一枚残されており「お金がかかるので探さないでください。実家の家族には病気になったことにしてください」とだけ書かれていました。

この二人は以前飲食店を経営していて、バブル崩壊とともに倒産、男性は職を転々としたため妻が家計を支えていました。

また別のケースでは、ガンが発覚し、通院だけで5万円かかると言われ、ふらっと東京まで行ってビルから飛び降りてしまった男性。

ポケットには20万円の現金と「このお金で、ひっそり火葬してください」と、おそらくは最終的に自分の遺体を処理してくれる人にあてた手紙が。

東京という大都市では、身元がわからないと考えたのでしょう。

お金の心配までして死んでいくなんて、なんて切ないのでしょうか。
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縁切り死の特徴とその心理

縁切り死のほとんどは自殺で、身元を消すことに細心の注意を払っています。

・持ち物が少ない


・周囲の人に何も知らせず突然姿を消す


・何のゆかりもない場所を選ぶ

本人や、周囲の人も今まで行ったこともないような、見当もつかない場所で見つかることが多いです。

どうしてこんなところで……と、親や配偶者は一様に首をかしげます。

天涯孤独の身であれば、こういう「縁切り死」を選ぶ気持ちはわからないでもありません。

しかし、配偶者や家族、知人友人もあり、連絡もとっている人が縁切り死を選ぶ理由はなぜでしょうか。

番組の中で、NPO法人の職員は「周囲の負担を考えて、迷惑をかけたくないからではないか」と推測しています。

私も似たような意見で、「最後に迷惑をかけられる人」をつくれなかったからではないかなあと思うんです。

親しい人に看取られながら安らかに死にたいというのは、多くの人の本音の本音だと思います。

しかし、私たちは「お互い様の精神」より「他人に迷惑をかけてはいけない」という価値観を重視してきました。

『迷惑をかける=悪いこと』という価値観が刷り込まれているのです。

そして、生活が豊かになったため死を身近に感じられなくなったため『死ぬこと=怖いこと、穢れたもの』と忌避する気持ちも強くなっています。

ゆえに、「死後の自分の始末をさせる迷惑かけるのはしのびない」という意識の方が強くなってきているのでしょう。

また、今回の番組のケースには出てきませんでしたが、今の高齢者はバブル時代を経験しています。

好景気時代はあれだけ勢いがあった自分のに、死ぬ時はこんなに落ちぶれて……。

このまま生き続けていても、いずれは親類や友人に頼るしかない時が来るかも知れない。そんなのは嫌だ。

それに日記やアルバムを処分しても、死後はいろんなことがわかってしまうから、あまりぱっとしなかった自分の一生がバレてしまう、そんな情けない自分の姿を見せたくない、知られたくない。
このタイプ、ちょっと理解が難しいですが「自分が死ぬのが信じられない」と感じる人も少なくなく、そういった類の「恥ずかしさ」「恥」もあるのでは?

だから、自分の履歴をいっさい「消去」してしまう方法をとるという心理。

あとは、最期の自分の醜い姿を、中途半端な知り合いや親類に見られたくないという気持ちもありますね。

「自分の最期を、価値観の合わない心の通い合わない人に触れて欲しくない。だったら中途半端な親戚よりも赤の他人にさっさと事務的に始末してもらったほうがいい」という思いもあったからじゃないかなーと思うんです。

そういう気持ちで「身元不明の死」を選ぶ気持ちだったのかもしれません。

家庭の「核家族化」が提唱されて久しいですが、日本経済が成長するに伴い家族は分断され、価値観も多様化しました。

夫婦や親戚とはいえもともと他人ではありますが、いい時も悪い時もごちゃまぜた自分を受け入れてくれる関係性を、そんな近い間柄でさえもう作れなくなっているのかもしれません。

「大事な人に迷惑をかけたくない」という理由の底には、「大事な人に弱い自分を見せたくない」「素の自分をさらけ出すのが怖い」心理がとても強いと思うのです。

妻が縁切り死してしまった男性は「何も言わないまま急にいなくなって本当にさびしかったです。もっと何か言ってくれれば、話し合えたと思うのですが…」と涙ながらに話していました。

悩んでいる時は気づかないかもしれませんが、あなたの存在は、あなたが思っている以上に重いです。

ひっそりと死んで誰にも迷惑かけないなんて方法はないということですね^^;

まとめ

誰にも知られずひっそり死にたいって思ってる人はたくさんいると思います。

ものすごくぶっちゃけた言い方をすれば、豊かさを経験した日本人は、プライドの高いタイプが増えてしまったのではないでしょうか。

現代人は自分を強く見せなければ、お金を持っていなければ低く見られて見捨てられる、そんな恐怖にいつも脅かされています。

見捨てられて置いてけぼりににされて忘れ去られるのならば、いっそ自分から行動を起こしてして忘れてもらおう。

持ちつ持たれつのなあなあの関係を選ぶよりも、一人で孤高な死を選ぶ……そんな感じもあるのかな。

でも、尾羽打ち枯らしたなら漂泊の旅にでも出るのもひとつの考え方です、何も死ぬ必要などありません。

最後ぐらい弱くたっていいじゃないですか。

「迷惑」を許さない社会の行き着く果ての現象です、迷惑を赦し合う社会であればこうはなりません。

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