山辺節子の現在は映画エリカ38のモデル 数奇な人生と超女子力

樹木希林さんの遺作『エリカ38』が、浅田美代子さんを主演にして2019年に公開されます。

最後の出演となった作品で、希林さんが女優人生で初めて企画を手がけ、徹底的にこだわりぬいた作品です。

『エリカ38』の元ネタは、2017年に出資法違反で逮捕された女詐欺師・山辺節子による事件。

タイで警察官に囲まれている、ある女性の映像。日本人だと信じたくなかったですよね。

2018年4月、熊本地裁は、東京都の男性ら計12人に架空の投資話を持ちかけ、約1億8000万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われている山辺節子に対し、懲役7年の判決を言い渡しました。

控訴はせず刑は確定、現在服役中です。

怪優・樹木希林さんは、この映画をどんな切り口で解釈したのでしょうか。

映画の封切りの前に、ちょっと予習をしていきましょう。

【参考】

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山辺節子のプロフィール

まずは、基本的なプロフィールを確認。

名  前:山辺 節子(やまべ・せつこ)

生年月日: 1955年3月3日(2019年で64歳)

出 身 地 :熊本県益城町

いくつになっても女性って若くありたいですよね。

そんな誰しもが思っている願いを、ものすごい行動力を発揮して実行してみせたのが、山辺節子です。

願いは、妄想で引き寄せるだけでは叶いません、行動しなければならないんですよ(机ドン)!!

彼女は「つなぎ融資の女王」と呼ばれ、60歳を過ぎてもモテモテだったようですが、どのような生い立ちだったのでしょうか?

山辺節子は、熊本県出身でバス運転手の父と、専業主婦の母の間に生まれた1人娘。

時代的に1人っ子って珍しいですよね、そのため非常に可愛がられて育ったと本人は話しており、特に父親は娘を溺愛していました。

逆に母親は可愛がってくれはしたものの溺愛とまでは言えず、父親と比較した愛情の薄さが、どこかで自分の行く末を感じていたのかもしれません。

山辺節子は両親の愛情を独占し、すくすくと育っていきましたが、物心がついた時には男性の心を掴む術を自然に身につけていました。

手記『砂風(さふう)』では、昔から現在まで友達が1人もいなかったと書いています(残念ながら出版されていません。読みたいな)。

先生から叱られると、じいっと相手の目を見て、まばたきせず、涙をつうっと一粒流す。ほとんどの先生は許してくれる。男性先生だけに通用する技だ。(手記『砂風』より)

男性にこのようなテクニックをあからさまに使うと同性には嫌われますし、しかもごく幼い頃から男性好きな感じがする人物だったということは、もう天性の性分。

このように幼い頃から一層男性に依存し、評価されたい、見てほしいという気持ちが強かったのでしょう。

高校生の時、同級生と駆け落ちをしたなんていう話も出て留年したくらい、男性に対しては情熱的な性格でした。

山辺節子の夫や子供は?

高校卒業後は医療事務の仕事に就きましたがすでにこの頃から異性交遊も派手で、娘を心配した父親が、自動車メーカーの社員とお見合いをさせました。

山辺節子が19歳の時です。

無事、結婚した2人は1男1女と子供に恵まれましたが、結局1人の男性では満足できずに、浮気を繰り返して婚姻生活は破綻。

娘を溺愛していた父親は、長男が生まれた頃に亡くなっていたので、離婚後は子供と共に母親と一緒に暮らしていましたが、この時「母親に愛されていない」と山辺節子は感じています。

自分の母親に好かれていないのだ、と感じた山辺節子は転げ落ちるように男性にのめり込んでいきました……。

2人の子供たちは、母親が男性をとっかえひっかえ遊びまくって不在の時は、祖母が面倒を見ていたようですが、現在はとても優秀に育っています。

息子さんは名門の一橋大学出身で、外資系大企業のシンガポール支店で投資関係の仕事をしています。

娘さんは、国際線の客室乗務員をしていると言われています。

祖母の教育が良かったのか、母親をしっかり反面教師にしていたのでしょうか、これは救いですね。

栄耀栄華をきわめた30~40代

離婚後、妻子持ちの町会議員と出会います。

彼は山辺節子にのめり込んで家族を捨ててまで再婚したのにやっぱり離婚、その後まもなく亡くなっています。残された妻子は、今も山辺には恨み骨髄だそうです。

33歳の頃には新しい男性の支援のもと、スナックの経営を始め、ママとして働き始めました。

とにかく客扱いがうまく、店はいつも満員。県内の会社経営者などが常連のお店でした。

地元では評判の「美人ママ」で通っていて、熊本の松田聖子と呼ばれ、高級外車に乗り、客の中から社長やら大金持ちを何人もつかまえて、数百万円はくだらない宝石を身につけて毎日を楽しんでいました。

羨ましいようなそうでもないような人生ですが、本人曰く「自分でお金がほしいと言ったことはない」との言。

男性が勝手に自分の欲しい物をくれるだけ、という認識でした。

どうしてそんなに支援されていたの?というと、スナック経営に飽きた後は、市場調査の会社を男性のお金で立ち上げたにも関わらず、珍しく男性を略奪されたことがきっかけで歌人になり、「原 菜つ子」の名前で短歌集を出版しています。

出版パーティーを開いて男性と出会い、次から次に乗り換えて生活の面倒を見てもらっていたわけです。

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山辺節子の詐欺ライフ

若い頃は熊本の松田聖子と呼ばれてちやほやされ続けた挙句、男性達からの支援もあり、非常に優雅な生活を送っていました。

成功しているのだからこのままスナックのママに収まっていればいいものを、飽きてすぐに別の職に手を出し、結果的に落ち着いた職につくことはありません。

この流れで、1992年に焼却炉の製造販売会社を興していましたが、この事業がだんだん資金繰りに行き詰まり、2005年の50歳の時に破産。

はじめての人生のどん底をさまよっていた時、珍しく親しくなった造花製造業の女社長に頼まれ、会社の手形の裏書きを書き、2,000万円の借金を背負ってしまいました。

ここから男性だけではなく、派手だった自分の生活にも執着していくようになったのです。

通常、お金がなければそれに合わせた生活をしますが、山辺節に子は耐えられない性格でした。生活水準を下げるのは難しいですよね。

体にしみついた贅沢な暮らしや、ちやほやしてもらいたい承認欲求の塊みたいな性格が災いし、ヤミ金に手を出すようになっていきます。

当然、借金で首が回らなくなった山辺節子は、相談できるような友達もいません。

知人にお金を貸してと頭を下げるのは、高いプライドが許しません。

そこで山辺節子は考えました、知人の1人に「お金を貸して」ではなく「30万円投資してみない?」と言ったのです。

つなぎ融資の女王

すべてはこの時手にした30万円から始まりました。

初めは身の回りから投資話を持ちかけ、融資を広げていきますが、規模はだんだん大きくなり、ウソのようにうまくいってしまいます。

山辺節子がつなぎ融資のことを思いついたのは、息子さんの投資関係の仕事に関連していると考えられます。

「つなぎ融資」と呼ばれる方法で、これは資金繰りに窮した企業などに対し、金融機関が一時的に実行する短期融資のことですが、もうこんなものにすがらなければならない企業というのは、借りる以外に道がないほど追い詰められているもの。

逮捕前の時期は「元本保証で25%の利息を払います」とうたって、顧客は東芝やシャープといった、経営難で話題の大企業でした。

ゼロ金利時代に25%の利息などまずあり得ない話なのに、そんなことに騙される人がいるの?と思うかもしれませんが、山辺節子は天性の話術を持っているため、言葉巧みだったのです。

さらに執拗な勧誘はしない、内緒の話だと伝える、交渉場所は山辺節子の自宅、そして現金は手渡しという、詐欺師の一般的なイメージとは違い、信頼の高さを装います。

殺し文句が「日本を救うためのお金」。

だからこそ表に出さないお金という言い方をして、帳簿をしっかりと作って、証拠が残らないようにしたとのこと。

声を上げられない被害者も多く、そのため被害総額は未だに不明だとか。

わかっているだけでは、約7,000万円を違法出資させた疑いで逮捕され、70人以上から7億円以上を集めたとも言われています。

山辺節子を頂点とした組織を作っており、2次団体には6人、3次団体には20人もいたと言われています。

ですが、そんな大掛かりなつなぎ融資も長くは続きません。この手のシステムは、最初は金も集まりますが、だんだんダメになっていくのが常です。

たったの1年〜2年で犯行は明るみになり、2017年に滞在していたタイで逮捕されることになりました。

ここで、詐欺としても大きな事件ですが話題を呼んだのは山辺節子のあの容姿。

肩までを大胆に露出した白いシャツ、膝上20センチの短パン、頭にリボンのカチューシャという、滑稽なまでの若づくりスタイルで、とても60歳過ぎには見えません。

本人いわく「私の足は男性にとても評判が良い」とのことで、足を出している姿はよく見かけます。

そして、タイ人の彼氏には「38歳なの♪」という嘘をつきとおしたのも驚きです。

若い頃は男性にお金をもらっていた側でしたが、逮捕された時はホストや彼氏にお金をつぎ込むようになってたようなので、ここが潮時だったとも言えるのではないでしょうか。

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がんばった自分へのご褒美★とタイの男性におうちプレゼント

山辺節子は、総額計7億円以上を騙し取ったとされます。

容疑は認めているものの「私も被害者」としたたかな面を見せていますが、だまし取ったお金で通称「姫御殿」と呼ばれる自宅を購入。1億円だそうです。

ご近所のおばちゃま情報によると、「朝からミニスカート」だったそうで、「あれならどんな男だってノせられる」と、有名だった模様。

しかし、2015年にこの御殿を捨てて、近所から姿を消しています。

この頃にはすでに「つなぎ融資の女王」なる異名まで持つほどに悪行を重ねて拡大し、シンガポールや香港、フィリピンを飛び回ったあと、タイに移住していたのです。

山辺節子は、2016年1月にタイのホストクラブで知り合った31歳のホストくんに一目惚れ。

この30歳年下のタイ人のホストくんに豪邸を購入、1か月に6万~9万円の「お手当」を渡し、さらにこの家に牛3頭もつけてあげたそうですよ!

タイバーツよりは円の方が強いですし、同じ1万円でも日本以上の価値が出ますから、「効率」も良かったんでしょうね。

実態は『2年間同棲してくれれば1000万バーツ(およそ3200万円)を支払う』という「契約」だったそうで、さすがに62歳では女子力で男を捕まえておくことはできず、カネを渡して「つなぎ」留めていたのでしょう。

カツラを12個も持っていたそうです(笑)。

まとめ:男性が好むのは『弱い女』ではなく『弱そうに見える女』である事実

私は元来の美人ではないことを知っている。装いと誰にも負けない雰囲気作り、表情、声、話し方、しぐさこれらを細かく分析し、相手や場所に合わせてまるで一枚のパズル絵のように仕上げていく。 (手記『砂風』より)

根底には、閉経や老いを受け入れられない女性特有の心の問題があるのでしょう。

10代の頃からずっと、肉体の若さや、作りこんだ女性性を武器にしていたからこそ、老化へのコンプレックスや女でいられなくなることが受け入れられなくなっていく。

若い頃に男性に依存していた人ほど、老いるほどに男性に執着がエスカレートしていき、お金を貢いででも男性を引き留めたいという気持ちに、もう歯止めがかからなくなったのでしょう。

40才になると完全に「おばさん」領域ですが、35才と言うとさすがにウソっぽいです。

その境界線としての38か39というのは、これ以上なくらいの絶妙なライン。

このあたりの繊細な「女の心理」を、『エリカ38』で樹木希林さんと浅田美代子さんは、どのように見せてくれるのでしょうか。

似たような性格の女性に、婚活連続殺人事件の木嶋佳苗がおりますが、男性が好むのは『弱い女』ではなく、『弱そうに見える女』だということなのでしょう。

山辺節子の場合は、「女」を通り越して「女の子」でしたが。

【参考】

木嶋佳苗の生い立ちは?声や字で婚活テクニックで男を虜にする方法

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