カルロス・ゴーン会長の逮捕理由や罰則、裏切り者は誰?逮捕劇も解説!

ゴーン会長の逮捕から一日たちました。

このような事態に陥った原因は、ゴーン会長に権力が集中し、第3者のチェックが入りづらくなっていたことが主な原因のです。

今回の逮捕劇は、ウォールストリート・ジャーナル誌にも大きな面積を割いて報道されています。

ゴーン会長の逮捕理由などについて調べてみました。

【参考】
カルロス・ゴーンの年収は?資産は2000億?!保釈金、追徴課税はどのくらい?

カルロスゴーンの自宅はどこ?リオ、パリなどに高級マンション購入!

ゴーン会長の逮捕理由は?

逮捕の理由は、カルロス・ゴーン会長が自分の報酬を有価証券報告書に過少に記載する、

金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)

の疑いです。

具体的には、2011年3月期~15年3月期の各連結会計年度の報酬額が、実際には合計99億9800万円だったのに、約49億8700万円と記載した有価証券報告書を提出していました。

過少申告の金額は、約50億円。

有価証券報告書とは、金融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料で、金融庁へ提出するものです。

これに虚偽の記載をした場合の罰則は以下のとおり。

「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」

です。

近年、罰色が強化しており、最近の相場としては「違反金額が1億円を超えたら実刑」という流れです。

ゴーン会長の実刑は、もう逃れられないでしょう。

特別背任罪の適用か

金融商品取引法違反のほかにも、以下の「特別背任罪」の疑いが持たれています。

・日産の「投資資金」を私的に流用

・日産の「経費」を私的に流用

パリやアムステルダムに「社宅」として、個人の不動産を購入していたようです。

その金額は、合計30億円以上に上るといいます。

ライブドア事件と比較

2005年のライブドア事件と今回のゴーン会長の罪状は同じで、ライブドアの2004年9月期年度の決算報告として提出された有価証券報告書に虚偽の内容を掲載したとする疑いで、堀江貴文さんが逮捕されました。

ライブドア事件の粉飾額は約50億円と同じ規模で、堀江さんは懲役2年6ヶ月の実刑判決を受けました。

ゴーン会長については、本格的な調査はこれからですが、特別背任罪などの適用も考えられることから、2年程度の実刑判決にはなると思います。

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司法取引に応じた日産自動車

司法取引とは、刑事事件の容疑者・被告が共犯者や他人の犯罪に関する情報を明らかにする見返りに、自分の刑事処分の軽減を受けられる制度です。検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりできます。

わかりやすく言えば「他に悪いことをしている人を教えるから、俺の罪は見逃してくれ、軽くしてくれ」というのもなので、ゴーン会長を売った人が内部にいるはずです。

司法取引は主に刑事事件において使われるものですが、2018年6月の改正で、金融商品取引法にも適用範囲が拡大されています。

根拠は「刑事訴訟法等の一部を改正する法律第350条の2」です。

第三百五十条の二
三 前二号に掲げるもののほか、租税に関する法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)又は金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の罪その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの

なんかもうすごいジャストタイミングですし、まさに今回の事件のケースのためにあるような法律ですね。

ゴーン会長の報酬額を偽って報告書に記載したのは誰?

この「有価証券報告書」は、企業であれば経理部が作成しています。

金融庁に報告するまでは、

・経理の担当係が作成

・経理課長の決裁

・取締役の決裁

が必要で、おそらく、今回の逮捕劇の情報提供者は、このラインの中の誰かではないかと思います。

5年間にわたり、50億円もの虚偽申告の資料を作成していたのです、経理部の中で知らなかったとはっきり言える人が、果たして何人くらいいるものなのでしょうか^^;。

ゴーン会長の金融商品取引法違反による日産の会社としての罰金は、「最大7億円」と言われています。

この部分について、東京地検と日産側は「司法取引」を行ったのでしょう。

日産自動車側は、「ゴーン会長を告発するから、会社に対する罰則を軽減してくれ」と東京地検特捜部と司法取引を行いました。

告発者は「外国人の取締役」

どうやら、最初に事実を指摘したのは「外国人の取締役」らしいです。

代表取締役

取締役会長 Carlos Ghosn (カルロス ゴーン)
社長兼最高経営責任者 西川 廣人 (さいかわ ひろと)
取締役 Greg Kelly (グレッグ ケリー)

上記3人は別として、たぶん以下の中にいる人でしょう。

取締役

取締役 坂本 秀行(さかもと ひでゆき)
取締役 志賀 俊之 (しが としゆき)
社外取締役 Jean-Baptiste Duzan (ジャンバプティステ ドゥザン)
取締役 Bernard Rey (ベルナール レイ)
社外取締役 井原 慶子 (いはら けいこ)
社外取締役 豊田 正和 (とよだ まさかず)

日産公式HP役員一覧より

この中で外国人は2人しかいませんので、どちらかなのではないでしょうか。

20年近くにわたって日産のトップに君臨し続けてきたゴーン会長の周囲には、今やイエスマンやシンパしかいない状況で、彼らに情報が流れればすぐにゴーン会長に伝わります。

もはや日産は20年近く「ゴーンの会社」になっているため、出世の道を断たれた誰かの恨みを買ったのかもしれませんね。

経営陣のなかでも限られたメンバーで内々に調査を進めた結果、“完全にクロ”であることを示す証拠が見つかったことで、検察へ報告することになりました。

2018年に入ってからは、日産側は監査役や弁護士に協力を仰ぎ、並行して検察に協力しながら内偵調査を進めていました。

金融商品取引法違反というのは、脱税とセットですので、国税庁も加わっていたことでしょう。

タイの発電所建設をめぐる「三菱日立パワーシステムズ」の元役員らの贈収賄事件に次いで、今回の日産のゴーン会長の事件が、2例目とみられます。

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ゴーン会長の逮捕劇

ゴーン会長は1年の1/3を日本、1/3をレバノン、残りを他の国で過ごしています。

昨日の2018年11月19日16時35分、これから日本に滞在する予定だったゴーン会長のプライベートジェットが、羽田空港に到着しました。

11月19日16:35

ゴーン会長のプライベート・ジェットが着陸するや否や、東京地検の捜査員が7~8人、飛行機に乗り込み、罪状などをゴーン会長に接触しました。

11月19日17時すぎ

東京都南区元麻生にあるゴーン会長の自宅と、日産自動車グローバル本社に、東京地検特捜部がほぼ同時刻に突入しました。

ゴーン会長のプライベートジェットがきちんと羽田空港に到着し、再び離陸して逃亡のおそれがないことを確認した上での、空港・自宅・会社の3点同時突入です。

11月19日17時35分

JNNが「カルロス・ゴーン会長逮捕」の第一報の速報を流す。

11月19日18時48分

日産自動車の西川廣人社長が声明を発表します。

だいたいこういう大事件の場合、「事実を確認してから正式にコメントします」と時間を稼ぐものですが、西川社長はこの時、すでにこれだけのコメントを発表しています。

当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について、日産自動車株式会社は、内部通報を受けて、数か月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び、代表取締役グレッグ・ケリーをめぐる不正行為について内部調査を行ってまいりました。

その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。

そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。

当社は、これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です。

内部調査によって判明した重大な不正行為は、明らかに両名の取締役としての善管注意義務に違反するものでありますので、最高経営責任者において、カルロス・ゴーンの会長及び代表取締役の職を速やかに解くことを取締役会に提案いたします。

また、グレッグ・ケリーについても、同様に、代表取締役の職を解くことを提案いたします。

このような事態に至り、株主の皆様をはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くおわび申し上げます。

早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めて参る所存であります。

11月19日19時32分

カルロス・ゴーン会長、逮捕。

映像はありませんが、羽田空港から直接、東京地検特捜部に移送されたものと考えられます(この時点で手錠はなし、おそらく東京地検に移送されてから)。

ゴーン会長が日本の羽田空港に到着してから、わずか3時間のスピード逮捕劇でした。

東京地検特捜部と日産自動車は事前に連携をとり、内定を進めていました。

日産側は、ゴーン会長のスケジュールをすべて東京地検に提供し、全面的に協力していたのです。

予定通りちゃんと離陸したか、途中で進路変更して逃げられないよう情報統制を徹底し、間違いなく羽田空港に着陸したのをしっかり確認してから一気に逮捕・搜索に踏み切りました。

全て秘密裏にことを運んだ、電光石火の逮捕劇です。

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ゴーン会長は翌日の20日、小池都知事と会食予定だった

なんと、ゴーン会長は翌日の11月20日、都内の焼鳥店にて小池都知事と会食予定で、お店に予約が入っていました。

港区田町の「串若」というお店で、ゴーン会長は来日してから実に20年来の常連だったそう。

港区にあるといっても本当に普通の焼鳥店で、月一回のペースで来店、店長は「ゴーン会長は気さくな人だった」と言ってます。

この時、小池東京都知事といっしょに焼き鳥を食べる約束していたようで、「会食」といっても、気さくに話せる雰囲気を好んだ方だったのでしょう。

このことからも、ゴーン会長にとってはまったく寝耳に水の事件でした。

まとめ:日産と東京地検の二人三脚

ゴーン会長は、プライベートジェットの機体番号に「NI55AN」と付けるくらいの日産好きでした。

数字の「55」をアルファベットの「SS」に読み替えれば「NISSAN」です。

確かに20年前は「コストカッター」の異名に恥じない大鉈をふるいましたが、そのかたわら、同時に「自動車会社は夢がなくちゃウソだろ!」と、瀕死の日産において開発費に制限をつけず、今やNISSANの代名詞・「GTR」開発を命じました。

徹底的にコストカットする一方で、自動車会社の夢を語ることができる、稀有な経営者でもあったのです。

今後の捜査の続報を待っています。

【参考】
カルロス・ゴーンの年収は?資産は2000億?!保釈金、追徴課税はどのくらい?

カルロスゴーンの自宅はどこ?リオ、パリなどに高級マンション購入!

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