ちょっとしたホストのような容姿とは裏腹に、俯いて「……ヒロシです」と自虐ネタを披露して一躍有名になったネガティブお笑い芸人ヒロシさん。
私はあんまりお笑い芸人さんに詳しくないのですが、この人は大好きでした。
昔の動画を見ても、ぜんぜん色あせておらず、何回でも楽しめます。
どうにもアドリブのトークができないらしく、頭の回転は早いけど繊細な人なんだろうなあと全盛期の頃からはうすうす感じてました。
こういう人がテレビなどという、スポンサー様の御ためを錦の御旗に掲げた視聴率絶対主義の圧力空間に居続けると、だんだん疲弊して最後は無神経なヤカラに足元すくわれて失脚するもの。
ヒロシさんも例外ではなかったですが、一時期でもテレビで人気が出たという経歴は、良くも悪くも知名度が残ってるので、時間はかかるかもしれませんが、うまく使えばその後の活動に有利に働きます。
コツは、趣味力とSNS。
波乱万丈のヒロシさんの年収の推移と、成功のコツを探ってみました。
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お笑い芸人ヒロシのプロフィール
まずは、プロフィールを確認。
本 名 | 齊藤 健一 (さいとう・けんいち) |
---|---|
生年月日 | 1972年1月23日(2019年で47歳) |
出身地 | 熊本県荒尾市 |
中 学 | 荒尾市立荒尾第三中学校 |
高 校 | 熊本県立荒尾高等学校 |
大 学 | 九州産業大学商学部商学科卒業 |
配偶者 | なし |
出 身 | 福岡吉本 |
ヒロシさんは、今はもう放送を終了した人気番組『笑いの金メダル』『エンタの神様』など、現在のお笑いブームの火付け役ともいえる番組からブレイクした芸人さんです。
ヒロシさんは熊本県荒尾市に生まれ。荒尾市は北海道夕張市と同じように、20世紀前半に炭鉱の街として栄えた街でした。
ただし、20世紀後半は、全国の炭鉱が次々と閉山になっていく時代。
お父さんは炭鉱夫で、ツルハシを持って坑道にもぐり、命懸けで土を掘り返す仕事の人で、毎日真っ黒になって帰ってきます。のちに片足を事故で失っています。
炭鉱夫というのは体が丈夫であればつとまるので、手に特段の職も学もない男性が、最後に家族と流れつく仕事。
給料は日払いでみな貧しいですが、死と紙一重の生活を共にしている同業者とその家族との連帯は非常に強いです。
ヒロシさんのお父さんは自分に学歴がない分、子供にはたくさん勉強してもらって、安定した仕事についてほしいと思っていて、勉強には厳しい人でした。
小学生の頃に漫才ブームがやってきて、ダウンタウンのお笑いライブを見たヒロシさんは、芸人に憧れを抱くようになりました。
しかし、持ち前のネガティブさからなのか大学を卒業後は、保険会社に就職をして平凡路線を選択したものの、雑談というものができずに契約が取れず、結果的にまったくうまくいきません。
そこで、一念発起して吉本興業主催のお笑いオーディションに応募するも不合格。
福岡吉本に所属することになったものの、結局退所し、上京します。
「ヒロシです」で最高月収4000万円
上京してから、みんなの記憶にある大ブレイクまでは何年もかかったようです。
東京で適性のないホストで働き、29歳から31歳までの4年間も辛い思いをし、ヒロシさんは後にこのホスト時代を「まさに生き地獄」「本当にムダな時間」だったと回想しています。
元来が繊細なヒロシさんは艱難辛苦に耐えきれず、ついに熊本の実家に戻って2ヶ月引きこもりに。
しかしその結果、「……ヒロシです」ネタが完成したのですから、人生何が幸いするのかわかりません。
その後、同時期に芸人になった仲間にネタ帳を見せたところ「面白い!」と言ってもらえて、自信を少し持ち、徐々に「ヒロシ」ネタを広めていきました。
ある時、正式な芸能事務所に所属し、私達の記憶にある『エンタの神様』に出演。
これを機に、全国放送の番組に次々出演し、人気を得て、そして徐々に有名になっていきました。
他人をオトすやり方ではなく自虐だから良かったんですよね。いろいろ応用もききますしね。
↓↓↓2018年最新版のヒロシさん!
時事ネタが上手く折り込まれているし、たまに2~3段構えで来るし、人を惹き付ける魅力があるし、言葉のチョイスも絶妙、ふつーに頭いいでしょこの人。
この立ち姿がサマになるのは、もうヒロシさんだけ。実はかなりのイケメンだしちょっとした色気まであるし。今もずーーっと飽きないです。
イメージとしては、バッ!と登場してパッ!と大ブレイクしたように見えますが、実際はかなり少しずつ売れていったような感じです。
ブレイク後は1年ほど1,000万円から3,000万円の月収が続き、最高月収は4,000万円という恐ろしい金額を叩き出しました。
さぞ贅沢したのかなぁ、と思いましたが家賃48万円の家に引っ越し、ジャガーを買ったくらいのもので、あとは全部風俗利用に使ったというのが、ヒロシさんらしいといえばらしいお金の使い方ですね……。
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ヒロシ・大ブレイクからの転落(月収0円)
短い間ではありましたが、絶頂期が訪れます。
貯めていたお金もそこそこあるし時間もあるので、釣りやキャンプ、ガーデニングにハマり、気分的には「早めの老後」を迎えます。
やっと人生の軌道に乗ってきたのに、今まで連日テレビで見ていたヒロシさんの姿がなぜかぱたりと見なくなりました。
「ああ、ヒロシネタしかないから、一発屋だったんだな」と側から見れば思っていましたが、どうもそれは違うようです。
ブレイクをして、テレビにたくさん出るようになると徐々に週刊誌に撮られるようになり、ホスト時代怖い思いをして逃げ出した経験のあるヒロシさんは、私生活が知られることを極端に怖がっていました。
さらに、テレビ局側から勝手に「ヒロシ」ネタを作られて、披露してくださいと依頼されて断ったり、アドリブであまり話すことができない自分がテレビに出るのは申し訳ないという理由で「ひな壇には出たくない」と伝えたことがテレビ局とのすれ違いを生んだようです。
テレビ局なんて視聴率を取るためなら、芸人なんて人間と思ってませんからね。
そういったテレビ側の、良識とキャパを超えた無神経な要求に応えられなかったため、徐々に番組スタッフから冷遇されたとヒロシさん本人は自覚しています。
ある番組でこの時のエピソードをちらっと話していましたが、
・売れているときは控え室に豪華なお弁当が出されていたのに、売れなくなったら値引きシールを剥がすのに失敗した賞味期限切れのお弁当になっていたりとか。
・お笑いコンビの髭男爵さんと3人のイベントの時、控え室のテーブルには水のペットボトル1本。3人でシェアしろということか。
・お菓子の粒が2つだけ置いてあった。
・モノを投げてよこされる。
小学生の嫌がらせかよ、と思うくらいの冷たい仕打ちが続き、どんどん神経をすり減らしていくヒロシさん。まだまだ言えないようなことがたくさんあったそうです。
でも、これってヒロシさんが悪いというわけではありません。
たしかにちょっと言葉が足りない感じはしますが、芸人さんが必死に作ったネタをテレビ局で勝手に作成して披露しろ、なんて乱暴な話はありません。
こういったことが続き、たとえ自分に自覚はなくても、心理的にはかなり傷ついてしまっていたのでしょう、それから収録の時は吐き気がして眠れなかったり、収録中は意識が朦朧としてしまう、という状況が続きます。
限界を感じたヒロシさんは、ついに「テレビに出ない」と事務所に伝えました。
元から、ヒロシさんは繊細な性格なので精神的に限界がきたのかもしれません、つーかとっくに超えてました。
これ以来、ヒロシさんはテレビに出なくなります。
収入が数ヶ月全くないという状況が続いたりし、新しい仕事をしようと思っても自分がヒロシでいた事実が邪魔してどうしても顔バレするため、足踏みした状態が続いてしまっていたんです。
自宅マンションから飛び降りようとしたりして、追い込まれた時「パニック障害」だと診断され、どん底の状態に。
収入はまったくなくなってしまいました。
ヒロシ・趣味を生かしたSNSビジネスでどん底から生還
このどん底時代のヒロシさんを、どこの局かは忘れませしたが『あの人は今』的なバラエティ番組が取材していました。
こんな落ちぶれた自分の姿を売り物にしなければならないほど、当時は生活に困っていたのでしょう。
かつてヒロシさんを圧迫した側のテレビ局のスタッフが「現在の年収は?」なんて無神経なことを質問して、ヒロシさんが激怒していましたが。
当たり前だわ。マジでテレビ局ってクソだなと思いました。
仕事がない状態が続いていましたが、自分で事務所を経営して事務所がある場所に喫茶店をオープン。
ここから、生活が改善したのかな?と思いましたが、喫茶店経営などはある意味片手間とも言えるようで、そこまでの収入にはなってないそうです。
実際にちゃんとした収入を得るきっかけになったのは、なんとYouTubeでした。
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ソロキャンプで復活(月収~70万円)
ヒロシさんは2015年に初めてYouTubeに動画を投稿し、じわじわと話題になりました。
動画の投稿方法は、ぜんぶ自分だけでネットを調べまくって覚えたとのこと。
ヒロシネタを披露するのか!?と思ってましたが、観てみるとなんとソロキャンプ!
ソロキャンプの動画をYouTubeで投稿、と聞くとすごく1人で話してるような印象を受けます。
キャンプ道具を紹介しなくてはいけないですし、組み立てている時も説明しながらという感覚がありますが、面白いほどしゃべってません(笑)。
ヒロシさんが自分の趣味であるキャンプを、ただただひたすら楽しんでいる動画が続きます。
車のエンジンの音や森の木々のざざめき、調理用品を動かしたりお湯を沸かす時の音、キャンプ用品を組み立てる音、息遣い、カップラーメンをすする音……そういった「非日常の生活音」が、ただひたすらえんえんと流れていきます。
1人で作業しなくてはいけないのだから、たしかにしゃべりながらって大変ですよね。
それに引きこもりの印象があるので、キャンプが好きということ自体に意外性があります。
最初の投稿では不慣れな感じもしましたが、自分のペースで時々手こずりながらソロキャンプを堪能する姿は、ちょっと癒されるくらいです。
ずーーーーっと見ていると、こちら側まで落ち着いて癒されます。
こういった何気ない生活音の連続が、もうヒーリングミュージックだよねこれ。
他人に邪魔されない自分ひとりだけの静かな空間を、動画視聴者は思い出すのかもしれませんね。
現在はユーチューバー(月収50~80万円)
2015年に始めた「ヒロシちゃんねる」は、登録者数34万人を超える人気チャンネルになっています(2019年3月)。
現在、平均再生回数は10万回で、すっかり人気YouTuberの仲間入り。
YouTubeのみの収入で50万円近くあり、YouTuberとして有名になってきたことから、グッズ紹介やネットCMなどに出演し、現在では演技にも挑戦しています。
そのおかげで波はありますが、全て合わせると月収70万円は超えていると考えられます。
全く収入がなかったことを考えると、かなり好転していると言えますよね。
しかも、現在の仕事の方法であれば、以前のように周りに気を使ったり、自分を殺すようなことがないので、ストレスなく続けられていることが収入増加の要因になったのではないでしょうか。
人と関わりたくない、自由でいたい、というある種ネガティブマインドな考え方がヒロシさんにとっては、人生をポジティブにさせるきっかけになったとも言えますよね。
まとめ:「テレビに出ない」ことが何で即「終わった人」なんだよ?
人生の酸いも甘いも知り尽くしたヒロシさん。
私も昔は勘違いしていましたが、テレビは確かに長年最も有力な宣伝媒体であり続け、いまだに影響力は甚大ですが、テレビの中の世界が全てではありません。
かなり大雑把な言い方をしますが、テレビの世界もSNSと同様に虚構の世界です。本質的に同じもの。
スケールの規模が違いますが、それらを離れた場所には、「現実の世界」が誰にでも待っています。
ツイッターやブログ、インスタグラムやテレビに振り回されず、虚構の世界を自分の中心に置かず、きちんと自分の現実の世界を充実させ、地に足をつけて生活することが大事です。
虚構の世界から解放されるコツは、自分のコアな趣味を見つけること。
自分が打ち込めるものならば、もちろん事業でも良く、テレビなんて本業の宣伝のために盆暮れ正月GWにちょっと出るくらいでちょうどいいです。
おかしな同調圧力に組み込まれず、過去の栄光やテレビにすがらず、どんなに地味でもしっかりした趣味とSNSとの合わせ技で一定のお金が稼げて、健全な自尊心も満たせるようになったなんて、なんといい時代になったことでしょう。
テレビメインにだと確かに大金は入ってくるものの、ずっと「広告主様と視聴者様が喜ぶ芸」を続けなければならないので大変ですが、SNSだと個人規模の趣味を無理ない範囲で継続することで、コツコツとお金が入ってきます、この対比が不思議ですね。
今の時代は、「みんなでいっしょの人間関係力」より「個人の趣味力」。
ヒロシさんはテレビ時代の知名度を(結果的に)利用し、第2の人生はスケールを圧縮した「小規模な虚構の世界」に出演、ちゃっかり生活費まで稼ぎ出しちゃいました。
SNSと趣味力は相性がいいです。
SNSビジネスを成功させた狷介孤高な趣味を持つヒロシさんを、当ブログは応援しています。
蛇足ですが、彼が少しずつ成功している理由は、ベッキーさんと真逆のことをしているからです。衰退している国の下降トレンドに逆らっていないからです。
↓↓↓
【参考】
ベッキーの現在の仕事や結婚後も批判される理由 ゲス不倫の教訓は
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コメント
記事を興味深く拝見しました。
私は「団塊世代の我楽多(がらくた)帳」(https:skawa68.com)というブログの
2019/9/24付けで「ヒロシちゃんねる」の記事投稿
しています。つたない記事ですが、もし、ご参考にしていただければ幸いです。